相続トラブルを回避する公正証書遺言の書き方

こんにちは!

ヤーマンです!

 

前回の記事では、公正証書遺言がある場合でも遺留分は請求可能であることなどを紹介しました。

公正証書遺言があっても遺留分を請求される可能性があるわけなので、トラブルを回避できる仕方で遺言を作成することは大切です。

 

遺留分を考慮に入れずに遺言を残すと、あとあと大きなトラブルになりかねません。

 

ではトラブルを避けるために具体的にどんな方法があるのでしょうか。以下でいくつかの方法を解説していきます。

 

相続トラブルを回避する公正証書遺言の書き方

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あらかじめ遺留分は相続できる内容にしておく

公正証書遺言を作成する時点であらかじめ各相続人の遺留分を計算しておき、それぞれが相当分を相続できるようにしておく方法があります。

 

そもそも遺留分の侵害が生じないのでトラブルを防止することができます。

 

この方法だとあらかじめ遺留分を正確に計算しておくことが大切になってきますが、亡くなるときにどれだけの資産があるのかはわかりにくいものです。
弁護士や税理士など専門家に相談することをおすすめします。

 

付言事項で思いを伝える

遺言書には「付言事項」を書くことができます。

この部分に遺言者の意思や思い、相続人へのメッセージを書くことができます。
たとえば「残された妻のことをくれぐれもよろしく頼む」といった具合です。

 

法的拘束力は無いとはいえ遺言者の真意を伝える有効な方法の一つです。

遺留分権利者の心情的な部分に訴えかけて遺言の内容を守ってくれる可能性が高まります。

 

遺言者の最後のメッセージとして受け取り、遺留分侵害額請求を思い留まってくれるかもしれません。

 

それで、特定の人に多くの割合の財産を遺贈・贈与する場合はその理由や気持ちを真摯に伝えるとよいでしょう。
たとえば生活に困らないためだとか、親身になって世話してくれた感謝のしるしなどです。

 

遺言者の明確な意思と心情が十分に伝わるような文章だと理解が得られやすいものです。

もちろん遺言だけではなくて、生前から十分に話をしておくことも大切です。
また、遺留分の請求権者に生前贈与をしている場合はその旨を付言事項に書いておくとよいでしょう。

 

生前に遺留分の放棄を活用する

遺留分は、遺言者の生前であっても相続人本人の意思により放棄することができます。
遺言者の生前に放棄してもらっておけば、あとあとトラブルが発生するのを未然に防ぐことができます。

 

とはいえ、この方法はそれなりのハードルがあります。

 

生前に遺留分を放棄するには、遺留分の権利者が自ら家庭裁判所に対して遺留分の許可を申し立てる必要があります。

 

また申し立てが認められるには、遺留分を放棄すべき合理的な理由があり、相当な対価が与えられていなければならない等の要件があります。

 

たとえば、特定の相続人にはマンションを買う資金を援助した経緯があり遺留分を放棄しておかないと将来問題を引き起こす可能性がある、などの事情が必要です。

 

なお、遺留分の放棄は相続人本人の意思でなければなりません。
遺言者が遺言書で「遺留分の放棄をすること」と記して放棄を求めても法的には無効です。

 

請求を受ける順序を指定しておく

遺留分の請求が認められる順序は法律で決まっています。まずは遺贈、そして贈与の順序です。
この順序は遺言者の意思で変えることはできません。

 

しかし同じ遺贈で複数の財産があった場合、遺留分の請求を受ける順序をあらかじめ指定しておくことで財産を守れる場合があります。

 

例えば遺贈が複数あったケースでも先に預貯金から、それでも足りなければ土地を、と指定しておくと、遺留分の請求があったときでも土地を守れる可能性が高くなるわけです。

 

また複数人に遺贈する場合でも、請求を受ける順序を指定しておけば、それぞれに少しずつ請求がなされるということもなくなります。

 

 

遺言書を作成するときは遺留分に注意する必要があります。
公正証書遺言があっても遺留分が侵害されていた場合は、受遺者に対して請求することができるからです。

専門家に相談し、対策を練りつつトラブルを回避できるような仕方で遺言書を作成することをおすすめします。

 

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